Life SUCKS but It's FUN

音楽、IT、サブカル、アイドル、その他思いつくまま好きなものだけ共有したい、ルサンチマンの雑記です。

【コラム】「10代ピンチケはなぜ馬鹿なことするのか」という科学的な何か


今までの科学では脳というのは成長を続けて成人期で止まると考えられてきました。

しかし、ここ近年のfMRI(ファンクショナルMRI)などの発達で
動画として脳を観察することができるようになり
新しい事実が判明しております。


例えば、社会的な通念を形成する脳の前頭皮質の部分は
青年期をピークに、成人になるにつれ縮小することがわかっています。

f:id:jetsetloo:20180601115712j:plain




前頭皮質は社会において自分はどう行動すべきか?を司る部分です。


え?その部分が一番活発なら青年期が一番社会的な行動とるんじゃないの?

とおもわれるかもですが、
青年期は前頭皮質が一番肥大化している時期で
シナプスの活動が一番活発になります。

つまり、あれもこれもいろんな行動をしてみたくなるわけですね。
そして、その部分が縮小することによって、
必要であるシナプスが強化され、
逆に不必要であるシナプスが整理されるわけです。

コレは弱いバラの枝を切り落とす事によって、
より立派なバラの花を咲かせる作業に非常によく似ています。

あと、コレは余談ですけど、グラフをみてお気づきの方もいると思いますが
女の子の方が男の子よりも2年ほど前頭皮質の発達が早いんです。
中学、高校くらいの女子が、同年代の男子のことを子供っぽいと思うのは
ちゃんと科学的にも証明されているわけですね。

もう一つ加えていうのであれば
リスクを持った行動をした時に興奮を覚える部分である大脳辺縁系

f:id:jetsetloo:20180601115725j:plain

 
が、青年期だと、より活発に作用しています。

つまり青年期の脳の成長過程というのは生物的に人間を

・いろいろなことにチャレンジさせる
・その報酬である興奮を与える
・結果的に社会において何が正しく何が間違いなのかを経験として学ばせる
・最終的に要らない作用をそぎ落とす

という行動を取らせるわけです。

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London, UCL)
が面白い実験をしています。

f:id:jetsetloo:20180601115742j:plain



仕切りがあって相手側から見えるものと見えないものがある状態で
奥にいるおっさんが「一番上のトラックを動かしてくれ」と言います。
「相手の立場に立って物事を考える」能力があれば、正解はこうなります。

f:id:jetsetloo:20180601115752j:plain



この実験で青年期の被験者の正解率が成人に比べて
非常に低いという結果がでています。
つまり相手の立場に立って物事を考える能力がまだ未完成であるということですね。


まぁ、こういったことはわざわざ科学で説明しなくても
実に昔から言われていることでもあります。

400年まえのシェイクスピアの「冬物語」にこんな一文があります。

I would there were no age between ten(^ and threeand-twenty,
or that youth would sleep out the rest ;
for there is nothing in the between
but getting wenches with child,
wronging the ancientry, stealing, fighting

「10歳から22歳までの若者は皆、冬眠してくれれば良いのに。
 彼らと来たら、女の子を妊娠させたり、老人に悪さしたり、
 盗みを働いたり喧嘩したりすることにしか興味が無い」


とはいえ、僕はこの時期に「おりこうさん」でいることのほうが
逆に怖いと思うんですよね。

実際やんちゃしてこっ酷く怒られた経験のある人の方が
いい親父さんになったりもしますからね。

きちんと怒ってくれる大人がいれば、ある程度は自由にさせてあげるのも
成長過程として必要なのかもしれません。

最後に僕の大好きなJ.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の主人公
ホールデン・コールフィールド君の一節で締めたいとおもいます。

And I'm standing on the edge of some crazy cliff. What I have to do, I have to catch everybody if they start to go over the cliff - I mean if they're running and they don't look where they're going I have to come out from somewhere and catch them. That's all I'd do all day. I'd just be the catcher in the rye and all. I know it's crazy, but that's the only thing I'd really like to be. I know it's crazy.'

「で、僕はその崖っぷちかなんかに立っているんだ。僕の仕事は崖から落っこちそうになる子供を捕まえることなんだな。つまり、子供って走り回ってるとどこへ行くのかわかってないから捕まえてあげるんだよ。そういうことを一日中やるのさ。僕は「ライ麦畑の捕まえ役」になりたいんだ。馬鹿らしいってわかってる、けどそれが将来の夢なんだ、馬鹿らしいってわかってるけど」


シェイクスピアサリンジャー翻訳:僕)