好き? 好き? 大好き? ”Do You Love Me?”
ちょっと可愛いタイトルですけど、主に精神分裂症(現在で言う統合失調症)の研究をしていた、イギリスの精神科医R・D・レインが1976年に書いた詩のタイトルです。
タイトルも内容も可愛らしいといえば可愛らしいのですが、少し病的な恐ろしさを感じる詩なので、興味あったら読んでみてください。
好き? 好き? 大好き?
彼女 好き?好き?大好き?
彼 うん 好き 好き 大好き
彼女 なによりもかによりも?
彼 うん なによりもかによりも
彼女 世界全体よりもっと?
彼 うん 世界全体よりもっと
彼女 わたしが好き?
彼 うん きみが好きだ
彼女 わたしのそばにいるの 好き?
彼 うん きみのそばにいるの 好きだ
彼女 わたしを見つめるの 好き?
彼 うん きみを見つめるの 好きだ
彼女 わたしのこと おばかさんだと思う?
彼 いや きみのこと おばかさんだなんて思わないよ
彼女 わたしのこと 魅力あると思う?
彼 うん きみのこと 魅力あると思うよ
彼女 わたしといると退屈になる?
彼 いや きみといると退屈にならないよ
彼女 わたしの眉毛 好き?
彼 うん きみの眉毛 好きだ
彼女 とっても?
彼 とっても
彼女 どっちのほうが好き?
彼 一方といったらもう一方がやっかんじゃうよ
彼女 言わなきゃだめ
彼 両方とも言いようなくすてきだなあ
彼女 本気?
彼 本気
(中略)
彼女 わたしのこと おかしいと思う?
彼 だって そこがいいんだなあ
彼女 わたしのこと 笑いものにしてる?
彼 いや きみのこと 笑いものになんてしてないよ
彼女 ほんとうに 好き? 好き? 大好き?
彼 うん ほんとうに 好き 好き 大好き
彼女 言って 「好き 好き 大好き」って
彼 好き 好き 大好き
彼女 わたしを抱きしめたいと思う?
彼 うん きみを抱きしめたい、きみを抱いてなでまわしたいよ、
そして鳩どうしみたいにキスしたり甘い声で話し合ったりしたいな
彼女 これでいい?
彼 うん これでいいよ
彼女 誓ってくれる? けっしてわたしを置きざりにしないって
彼 いつまでだってけっしてきみを置きざりにしないって誓うよ、胸のうえに十
字を切るよ、
そして嘘をつくくらいなら死ねたらと思うよ
(無言)
彼女 ほんとうに 好き? 好き? 大好き?
最初彼女は自分への愛の大きさを確認するんですけど、次に自分との行動への愛の確認に移ります。
そして自分のコンプレックスをさらけ出した上で、愛を確認するんですが、それでも満足できないようなので、彼は最終的に「死」を持ち出して愛を表します。
そうして彼女はそれ以上がないことに気がつくと、しばし無言になり。。。
また最初へとループしていくのです。
捉え方は人それぞれでいいと思うんですが、単調で可愛らしい表現のなかに、なにか終わりのない承認欲求が垣間見えて恐ろしさのある文章ですよね。
現代のSNS事情と照らし合わせてもなんだか含蓄があるような気もします。
アニメでいうとエヴァンゲリオン第二十五話のサブタイトルの元ネタでもあり、
戸川純さんの「好き?好き?大好き?」の元ネタでもあります。
やっぱすごいな、戸川純