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音楽、IT、サブカル、アイドル、その他思いつくまま好きなものだけ共有したい、ルサンチマンの雑記です。

幽霊の科学的根拠と認知心理学のお話

よくこう言う話は、科学VS超自然現象 のような図式になるんですが
そういうのはとりあえず置いといて、少し「認知科学」のお勉強をしましょう。


人間の脳は本能的な生存上の理由から何かを見たり感じたりしたときに
2つの大切な働きを行います。

①パターン性
何かを見たり感じたりしたとき、それが何かを理解するために、
本能的にそこにパターンを見出そうとします。(Patternicity)

例えば、これは何に見えるでしょう?

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今皆さんは必死に「パターン」を見つけようとしたと思いますが、
普通にはわからないくらいに元の写真(魚)に粗い処理がされていますので
「わからない」のが一般的に正解です。

この写真を使ってイギリスの心理学者スーザン・ブラックモアが実験を行った所
一般の人と比べ、幽霊や宇宙人、妖精などを信じる人たちは
高い確率で「(間違った)答え」を見つけたそうです。

つまり、この感覚が強すぎる人は、なにかよくわからない物の中にさえ、
勝手に答えを見つけて決めつけてしまう傾向があると言えます。


②エージェント性
我々動物は、手に負えない、わからない、と感じた時に
そこに自分を超えた意思や意味があると思う傾向にあります。(Agenticity)

例えば、あなたがアフリカの大地を歩いていると、草むらから音が聞こえました。
さて、あなたはそれが何だと思うでしょうか?

a,ライオン等の肉食動物かもしれないから危険と感じて逃げる
b,ただの風だと思うから気にしない


正直そんなものわからない、と思う反面
a の方がいいんじゃないかな?となんとなく思うはずです。

ただの風かもしれないけど、何かわからない物から自分を守るために
そこに自分より強い意味や意思(ライオン)があると本能的に思うわけです。
これがエージェント性です。

そして、この感覚が強い人ほど、
自分の手に負えないものに勝手に意味や意思を持たせてしまいます。
何にでも「世界の陰謀」やら「神の意思」やら「運勢」等と決め付けてしまいます。


さて、これらパターン性とエージェント性は、論理的よりは直感的なもので
右脳の一部分で処理されることが脳科学でわかっています。
そしてそれを司るのが「ドーパミン」なのですが、この働きが強い人は、

例えば、普通の人にはただの影に見えるものが
「人の形だった!(パターン性)幽霊に違いない!(エージェント性)」
・・・と思い込んでしまう可能性があるわけです。

 

とくに心霊スポットや、自然に人間が恐怖を感じる場所などにいると、ドーパミンの分泌量は増えるので、結果的に勘違いを起こしやすく、「幽霊を見る」 確率が上がるわけです。

これが悪化すると、とにかく何にでもパターンと意味をもたせてしまい、
人の会話が自分の悪口に聞こえる、じっと他人に見られている気がする、等
本当の意味での病気(統合失調症)になってしまう訳です。

 

なお蛇足ですが、覚醒剤が危ないと言われている理由の一つもこれで、脳内麻薬の分泌を促す覚醒剤を使用すると、ほぼこの状態になり、いわゆる勘ぐりといった、誰かに狙われているのではないか?などという妄想を起こしやすい状態になります。



幽霊が居るか居ないかはわかりませんが、加えてもう一つ、


「心霊は真面目に(科学的に)研究されていない」とよく勘違いされています。
実際は心霊、超能力等、超自然現象を扱った学問は
超心理学」として100年以上前からきちんと存在し、
イギリスやアメリカの有名大学にちゃんと研究所もあり
真面目な学者さんたちが現在でも研究、検証しております。
(因みに日本にも明治大学教授が設立した「日本超心理学会」というのがちゃんとあります。)

ただし結果から言えば、
世界的な研究にもかかわらず幽霊が存在するという証明はまだ一件もないんです。

つまり、あなたが「幽霊を見た!」と思っても
学問と超自然現象を天秤にかけた場合、
今のところ残念ながらそれが「幽霊」である可能性よりは
脳の勘違いの可能性の方が公平に考えても全然高いと言えます。

既に解明されている認知科学の可能性をバッサリ切り捨てて
「絶対に幽霊はいる!」と決め付けてしまう人は、かなりガンコです。
右脳の感覚だけでなく、もう少し理屈でも考えてみましょう。


ただし、居ないことを証明するのは、事実上不可能です。
これは「悪魔の証明」と言って、
例えば、「日本にはもう新種の虫は居ない」事を証明するためには
日本中を隈なく調査し、本当に居ないことを確認する必要があります。
これが事実上無理であるのと同じで
「幽霊が居ない」事を証明するのは実際不可能です。

証明できない以上「幽霊なんか絶対いない!」と決め付けることも出来ません。
そういう人は、世の中にはいろんな可能性が無限にあるよ!と、
もう少し夢をみてみましょう。




いくら科学や学問が発達しても、理屈は理屈で置いといて・・・

お盆にはご先祖様をお出迎えして、感謝して、
お正月には家族や友達の一年の無事をお祈りする
亡くなった人達には、天国で楽しく暮らしていて欲しい。

大切な文化や人の心は
科学や学問では永遠に解明できなくってもいいと思うのです。