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音楽、IT、サブカル、アイドル、その他思いつくまま好きなものだけ共有したい、ルサンチマンの雑記です。

モネが睡蓮の絵を描き続けた切ない理由

多分皆さんも一度は目にしたことがあるモネこの作品

 

 

ちなみに宮崎駿監督がオマージュしてますけど

 

 

まぁそれは良いとして。

 

後にモネが200点あまりの睡蓮の絵を描き続けた切ない理由がこの絵にあります。

あんまり理屈っぽい話も退屈なので、さらっとモネという人について語りたい。

お暇がありましたらお付き合いお願いします。

 

モネの時代、絵画というのはとてもアカデミックで、きちんと勉強した人がサロンに入選して初めて絵が売れる、なおかつ写実的かつ古典的でまぁ僕らが想像するような『ザ絵画』こそが芸術だ、といった風潮がありまして。

 

まぁ、こんな感じのですよ、絵画と言えば、みたいな。

 

 

モネも、そもそも絵は上手いしサロンにも入選してるんですけど、落選が続くようになりそう言ったアカデミズムに反対するように、また、写真という技術も出てきて『写真みたいな絵が芸術だったらもう絵は勝てないじゃん?絵は絵でしか表現することが出来ないこともあるはずじゃん?』

 

という理由で風景の空気感と色彩を細部にこだわらず表現する、といったやり方をするようになります。のちに『印象派』と呼ばれます。

 

『印象・日の出』( Impression, soleil levant)クロード・モネ1872年

 

これが印象派の由来とされる(本当はちょっと違う)モネの作品。

雑でしょ?でも日の出の空気感がとてもよく出てて僕は好きです。

で、まぁこんな感じの絵なのでもっと評価はされないんですよ。

当然売れない。その上結婚したことで親からの資金援助を切られてしまったので田舎に引っ越すんです。奥さんと。

 

 

これが奥さんのカミーユです。

で、万博があったこともあり、モネのような新しい芸術を目指していた画家の間で日本画が流行するんですよね。後々出てきますけど、和風の橋を睡蓮の池に作ったりもしてるくらいモネは特に日本文化好きです。ゴッホもだけど。

 

で、最初の日傘をさす女、顔をよく見てもらうとわかるんですけど、これもモデルは奥さんのカミーユです。

 

モネが貧乏ながらも田舎で幸せに暮らしていたころの作品。

印象派独特の柔らかい日差しの表現がそういったモネの幸せな心まで映しているようで見ていてとても心地よい気持ちになれる作品で大好きなんですよね、僕は。

カミーユをめちゃくちゃ愛していたんですよ、って見て取れるんです。

 

けれどもここでモネに事件が起こるんですよ。

貧乏なモネのところにアリスという女性が子供6人を引き連れて転がり込んできます。

理由としてはそのうちの一人、恐らくモネの子供だから。

で、モネが浮気していた同時期にカミーユにも次男が生まれるんですが、それが原因でカミーユは亡くなってしまうんですよ。

 

で、最初の日傘をさす女から11年後、もう一度描くんです。同じ絵を。

 

 

何故だと思います?

 

僕は、なんですけど。

これはモネの決心だと思うんですよね。

前の奥さんのことは忘れて今はこの家族を大切にするんだ、という。

 

 

でもですよ。

できれば最初の絵ともう一度比べてほしいんですけど

 

 

やっぱり描けないんですよ。

こんな風に幸せに。

 

証拠にですよ。

 

顔がないんですよ、新しく描いたほうは。

誰だかわからないんですよ。

 

描けなかったんじゃないですかね、モネは。

カミーユへの愛情と、後悔が大きすぎて。

 

それ以降、モネは一切の人物像を描かなくなります。

 

代わりに、自分の庭の睡蓮を何度も何度も

まるで修行のように描き続けるんですよ。


その数およそ200点。

 

 

 

 

先にも書きましたけど、モネは日本文化が大好きでした。

当然『睡蓮』がなんの花かは知っているはずです。

もちろん亡き妻カミーユも。

 

日本画ではよく見られるんですけど。仏画なんかで。


睡蓮は極楽浄土に咲く花です。

僕はカミーユに向けて必死で描いてたんじゃないかなぁと思うんです。

 

まぁ、これはモネがはっきりと言っていることではないので

そうではないかな?というお話なんですけど、

そういう作者の物語をしると、なんだか違って見えませんか?睡蓮が。

 

芸術ってよくわからない難しいものって思うかもですけど、

そういう鑑賞のしかたもまた、よいのでは?というお話でした。

 

 

 

 

 

モネの実際の睡蓮が二枚も。

そして実際に彼の庭でとられた睡蓮の写真という贅沢空間。

僕は一時間くらいモネの奥さんへの悲しくも切ない愛情を前に動けませんでした。

 





ではでは