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音楽、IT、サブカル、アイドル、その他思いつくまま好きなものだけ共有したい、ルサンチマンの雑記です。

古着屋さんでよく見る米軍の迷彩の種類について。

数ヶ月前、ライブ会場で知り合ったアパレルの人と何故か迷彩の話になって、

「Blogとかないんですか?」と言われたので、やっとこうして書き出してみてるところです。ほぼ私信みたいな日記ですけども。

 

・前提として知っておいてほしいこと

基本的に軍で採用される迷彩柄に正式な名前はありません。全部一括して「カモフラージュ」と呼ばれます。例えば通称ジャングルファティーグと呼ばれるこちらのジャケットには

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「コート、男性用、綿、防風、ポプリン、オリーブグリーン、アーミーシェイド107」と書かれてあって、長げぇな、

 

で、このジャケットの迷彩バージョンには

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「コート、男性用、カモフラージュ、コットン・・・・・」

と書いてあります。僕らが「◯◯カモフラージュ」とかって呼んでいるのは、あくまで軍人やマニアや一般人が勝手に名前つけて様々な呼び名で呼んでるだけです。なので今回は日本での通称と、アメリカでの通称の二点記載する予定です。

 

タグ出したついでに一つ余談なのですが、その下に「DSA 100 70-C 0475」とありますす。んで100の次の数字が製造された年を表してます。なのでこのジャケットは1970年製、上のジャケットは1967年製ということがわかります。ちなみに80年台以降は「DLA」と表記されますが、あとは一緒です。理由は、国防補給局(DSA)が組織拡大により国防兵站局(DLA)に名称変更されたためです。SupplyがLogisticになっただけです。

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1990年製のニットキャップですよ、ってコトですね。

 

これ、結構古着屋さんで実物かレプリカか、また何年頃の服なのか、簡単に判別できるんで知っておいて損はないです。もっと古い服はスタンプとかガーゼのタグとかで「1945」とか書いてあるんでわかりやすいんですが、ほぼ消えちゃってる場合が多いです。

 

では本題に行きましょう!尚細かいマニア的な説明はなるべく省いて、あくまで古着好き向けに書いていきます。あきるから。

 

1942年 邦・ダックハンター / 米・Frog Skin

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米軍が正式採用した最も古いカモフラージュです。リバーシブルで裏は秋のパターン。ただドイツ軍の迷彩に似てしまったため、誤射を避けるために日本軍のいる南方のみで使われました。バカなの?

このパターンは戦後、ハンティング用にスポーツメーカー等が使用したため、ダックハンターとも言われています。古着屋さんにあるダックハンターはだいたいがこの民生品です。

 

 

 1953年 邦・ミッチェルパターン / 米・Mitchell pattern

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当時の米軍のヘルメットM1、M2はあまりにも形状が特徴的だっただめ、塹壕からひょっこり出た頭を目立たなくする必要がありました。そこで採用されたのがミッチェルパターンのヘルメットカバー。葉っぱだよね。これも裏返すとブラウン系になります。この生地で作られた民生品のジャケットとかもたまに古着屋さんで見かけたりします。

 

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こういうのとか可愛いよね。生地は本物です。

 

1967年 邦・リーフパターン / 米・ERDL pattern

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リーフ(葉っぱ)というなら前記のミッチェルのほうが葉っぱっぽいと思うのですが、由来は謎です。一つ言えるのはこの迷彩は、1948年にERDL(技術研究開発所)という所の迷彩デザイナー、ジョン・ホプキンス氏によってデザインされた、ヴァインリーフ、ミッチェル、そして研究所の名を冠したこのアーデルパターンの3つのうちの一つで、ちょっと紛らわしい理由から研究所の名前と迷彩パターンが混同されて、採用されなかったハズの「リーフ」という言葉で解釈されたのかな?と。

 

ちなみに発音はERDL=アーデル、と読みます。米英語は略語三文字はアルファベットで、四文字は続けて読みがちという文化があります。(JAL→ジェィエーエル/ASAP→エィサップ)もちろんイーアールディーエルも間違いではありません。

 

そしてこのパターンには二種類あって、写真左側の通称グリーンリーフ(初期リーフ、ローランド)、そして通称ブラウンリーフ(後期リーフ、ハイランド)。何故に呼び方が統一してないのかと言うと、そもそも何故2パターン存在するのか理由が不明だからです。

 

1967年といえばヴェトナム戦争本格突入期で、支給されたそのほとんど全てがグリーン系だったのですが、戦後から徐々にカーキ色のパーターンに変更されていきました。中にはミックスされたこんな過渡期のものもあります。

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さて、コレには二説あって、迷彩のデザイン自体1948年にされているんだから、需要の大きかったヴェトナム向けのローランド(低地)パターンがまず優先的に製造されたんだ、とする説と、一度染料に関しての見直しがされたとする、初期、後期説。(本当はもっとある)

 

まぁマニアじゃない人からすれば、ホントどうでもいい話なので、それぞれグリーンリーフ、ブラウンリーフと呼ぶのが妥当でしょうね。ERDLは日本だと通じない場合があります。ちなみに上記のとおり、戦場で使われたのはグリーンがメインなので、価値も値段もずっと高めです。

 

1981年 邦・ウッドランド / 米・M81 Woodland

先のERDLパターンは遠くから見ると細かすぎて意味がないって理由で、パターンをそのまま引き伸ばしただけっていうウッドランド迷彩が採用されます。多分、古着屋さんで一番目にする迷彩です。

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ちなみにですが、後に採用された砂漠用迷彩、通称チョコチップには、石ころが書いてあったのですが、

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すぐに石ころのない通称コーヒーステインに変更されています。

 

学べよ。石ころ居るか?

 

別枠1958年 邦・タイガーストライプ / 米・Tiger Stripe

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今でも米兵に人気のパターンなんですが、何故別枠にしたかというと、タイガーストライプは歴史上一度も米軍に正式採用されたことがないからです。出回っているタイガーは戦場で使われたものも含め、全て民生品です。

 

経緯を説明するには、まず一般的なアメリカ陸軍特殊部隊(Special Group/通称グリーンベレー)の間違ったイメージを壊さなきゃいけないんだけど、当時のグリーンベレーの任務は12名のチームで現地の山岳民族700名を訓練して一つの大隊を作り上げることでした。グリーンベレー脳筋弾幕サバイバル野郎ではなくて、インテリエリート教官集団です。

 

補足なのですがヴェトナム人と呼ばれる殆どの人がもともと中国人です。中国から南へ越えた場所であることから越南(ヴェトナム)と名付けられました。山岳民族とはそもそものヴェトナム現地民であり、中国の進攻により山岳部へ追いやられた人びとの事で、もともと中国系ヴェトナム人に恨みがあったわけです。米軍はコレを利用しました。

 

そして主な作戦は、北ヴェトナム軍がこっそり作った隣国タイ、ラオスカンボジアを通り抜ける通称「ホーチミン・ルート」の破壊活動でした。当然戦争とは関係のない他国なので、米軍は正規部隊を送れません。そこで現地兵からなる特殊部隊が任務にあたるわけですが、彼らも、なるべく米軍とはわからない装備が必要だったわけです。

 

そこでMDAP(相互防衛援助計画)の名のもとに、南ヴェトナム軍の通称シーウェーブ迷彩をベースに、主に日本の沖縄でタイガーストライプが生産されました。沖縄には第1特殊部隊の基地があって、そこから現地で第5特殊部隊に編入されるという経緯があったので、意外にも特殊部隊の被服は日本製が多いです。

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ぱっと見、真ん中の山岳民族の上着が南ヴェトナム製、それ以外は全部沖縄製です。パンツは金色に退色する通称ゴールドタイガー、後ろの米兵の上着が銀色に退色する沖縄第三ロット通称シルバータイガー。おそらく他のは全部ゴールドタイガー。変な話、退色しないと区別難しいんですよ、タイガーって。

 

一番古着で見るタイプが通称ジョン・ウエインタイプなんですが、「∈」みたいなパターンが特徴なんですよ。でもそれがないんで。

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ジョン・ウエインタイプタイガーストライプ

 

・・・という経緯からタイガーストライプに関しては何を本物とするのか?というそもそも論があるわけで、人気の沖縄製の当時物が欲しくても、非常にできの良いレプリカが出回っているので無闇に高額なものは手を出さないほうが良いと思います。

例えばこの「∈」を登録商標とって生地を製造している「タイガーストライププロダクツ」というレプリカがあるんですけど、

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上の当時物と比べて若干茶系の部分の色合いが明るいんですよ。わかります?これでもレプリカとしてはめちゃくちゃ判別しやすい方なんで沼です、沼。

 

サイズは、山岳民族向けがアジアのMを意味する「A-M」米兵向けが「US-M」といった感じでスタンプされてます。

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まぁとにかく、不正規、極秘任務、アウトロー、インテリみたいなイメージがタイガーストライプにはあるので人気なんですよ。単純にパターンがカッコいいというのもあるんですが。

 

ちなみに現在の米空軍が採用しているABU(エアマンバトルユニフォーム)がタイガーストライプっぽくてカッコいいです。

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空軍なので滑走路での作業を考慮してグレー系になってますけど。

 

だらだらと長くなっちゃった…やだね、ほんとに。

まぁ、ぜひ古着屋さんでお宝さがしを楽しんでください。ではでは。